2014年5月24日(土)10:48 毎日新聞
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【バンコク岩佐淳士】タイのクーデターでタクシン元首相派政権を崩壊させ、全権を掌握したプラユット陸軍司令官ら軍部が、プミポン国王に対するクーデターの報告を書簡で済ませ、謁見しない可能性があることが分かった。23日付の地元紙バンコク・ポスト(電子版)が伝えた。これまでクーデター主導者らは国王謁見により「正統性」を国民に強調してきたが、今回は異例の対応と言える。政治対立に国王を巻き込まないようにする配慮が働いたとみられる。
クーデター後の国王謁見はタイ政治の慣例だ。その様子はテレビなどで公表され、歴代のクーデター主導者らは国民に対し、国王による「お墨付き」を印象づけてきた。タクシン元首相を失脚させた2006年9月のソンティ陸軍司令官はクーデターを決行した直後に国王に謁見している。だが、このクーデターは国際的に強く批判されたうえ、タクシン派の反発を招き、結果的に国内対立を深刻化させた。一部タクシン派は、批判の矛先を王室にまで向けるようになった。
今回の政治対立では、反タクシン派のステープ元副首相が、同派が目指す暫定政権樹立に際し「私が国王に暫定首相と内閣の名簿を提出し、承認を求める」と発言。一方、タクシン派政権側は暫定政権樹立の是非について意見を求める方針を示唆するなど、双方が国王の権威を利用した駆け引きを行っていた。
バンコク・ポストによると、軍部は国王に書簡を送付し、クーデターについて報告。プラユット司令官は国王には拝謁しない意向を示したという。政治を超越した存在として国家をまとめ上げてきた国王が政争の具と化せば、その権威は傷つき、国内対立は一層、修復が難しくなる。熱心な王党派として知られるプラユット氏が、国王を政治対立の表舞台に出さないよう配慮した可能性がある。
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